山野穴太のいまどきナースこぼれ話

2017年11月07日
第117回 ナースの家事の時間短縮

寒くなった。猫の数も73匹に増えた。避妊、去勢手術代で新車が買えている。普通なら完全に家庭崩壊の状態であるが、わが輩1人の居住スペースはどうにか確保できているのと、ボランティアさんが2人、わが輩の仕事中にエサやりやトイレ掃除ほか、病院通いなどをやってくださるので、今のところは家庭崩壊“予備軍”を保てている。
 これだけの数を引き取った事情はさまざまだが、最近は飼い主が高齢で入院しなくてはならないとか、認知症が進んできたのでと、クリニック・併設デイサービス職員経由やツテを頼ってご家族から打診がくることが多い。「この仔ら(たいがいは数匹以上飼育)の引き取り手を探したけどいない。このままだと愛護センターに連れて行って、処分してもらわなければならない。助けてください」と泣きつかれる。ならばご家族が面倒をみてくれればいいのだが、「うちはマンション住まいだから」とか、「子供や連れ合いが猫アレルギーだから」などなど、頭が痛い今日この頃である。

 さて、本題。
 
 先月の買い物事情の続編のようになるが、家事その他の時間短縮について、わが輩はナースの方々からいろいろ聞かれたり雑談の相手をさせられることも多い。なぜか。一応、家庭持ちではあるが、ある時から単身赴任というか単身帰郷の状態で、仕事と家事に加え、猫の世話もかけもちしているからだろう。ナースの場合、共働きか、シングルマザーか、独り身で、いずれにしても仕事持ちだから、仕事以外のことは簡単・確実に、早く能率よく片づけたいらしい。そんなに時間がいるのかいな?と聞いてみると、結構、勉強時間がいるらしい。

 わが輩ら医師の世界でも、新専門医制度とやらで、やたらと単位を取らなくてはいけなくなった。学会に出席しても、必要最低限度の演題を聞くのみで、あとは講習会というか、単位取得講義に出席して回らなくては、5年間の必要単位が取れない。ナースの場合も、資格取得のため一定の講習などを受けなくてはならない。「おっちゃんのように、のんびりと猫と昼寝をしておれないのよ」と言われる。

 専門看護師は、がん看護、精神看護に始まって、2017年12月誕生見込みの遺伝看護、災害看護まで13の専門看護分野がある。認定看護師も、同じく現在認定されているのは救急看護、皮膚排泄ケアに始まって、慢性呼吸器疾患看護、慢性心不全看護まで21ある(注)。これらの取得を希望するならば、やれ自宅学習や講習会出席などで、単位を取らねばならない。確かに、のんびりと猫と遊ぶことはおろか、家事も手っ取り早く片づけねばならないだろう。

 金があるならば、宣伝に乗せられて時短家電を買うのもありでは?と、いい加減に答えると、「自分でやったほうが早い」「電気代がかかる」「性能に不満がある」などで、結局は思うように時短にならないそうである。まあ確かに、わが家の洗濯乾燥機も、乾燥機能は時間や電気代がかかるし、音がやかましいので、結局全く使わない。彼女ら曰く、掃除機ロボットも、部屋の隅や狭い場所では不十分だし、脱衣場の隅にある体重計より小さなサイズのものではごみがすぐにたまり、手入れが面倒くさい。何より、お掃除ロボット様が通れるように、大は床に寝ころんでいる旦那から、小は置いてある雑誌や本、スマホなどにいたるまで、まずは最初に人間様が片づけねばならない。自動食器洗い機など、昔のように大家族所帯ならいざ知らず、核家族では必要がない。などなど、反論が相次ぐ。
 
 挙句のはてには、「先生は一人で70匹以上の猫を効率よく世話しているから、さぞ便利な時短術でもあるのかと期待して聞いてみたけど、時間の無駄でした」とさげすまれる始末(笑)。い、いや、 これらの便利(と宣伝されている)家電を上手く使って仕事と家事を両立させている人も知っているぞ」と言ってみたが、「そんなの、どうせ私らより高給取りのキャリアウーマンでしょう」とバッサリ。まあ、中らずと雖も遠からずですね、ね、編集者さま(笑)。

 結局は人の手が一番早くて安上がりであると言うと納得するのだが、でもそれでは勉強する時間がないし……と唸る。
 わが輩相手に油を売る暇があれば勉強しなはれ。

注) 日本看護協会 資格認定制度とは(http://nintei.nurse.or.jp/nursing/qualification)