山野穴太のいまどきナースこぼれ話

2016年10月07日
第104回 報告・連絡・相談(ほうれんそう)

さて、たまには外猫の話を。きわめてローカル版で失礼する。
 古くて由緒ある、とある駅の6番・7番のりば口(本駅から離れていて、一度改札口を出て道路を数分トコトコ歩く)の線路脇に、左後ろ足の無い(膝から下が切断)茶トラの猫が数年前から住み着いている。あまり詳細に書いて、猫好きが押しかけると、猫も迷惑、駅員さんも迷惑であるから、適当にぼかす。週1回、近くの病院に外来担当で行っているが、以前、2駅寝過ごしてしまったことがあり、乗り換えるときに、たまたま見つけた。以後、仕事帰りに毎週エサを運んでいる。駅員さんが親切で、エサを預かってくれて、毎日やってくれる。乗降客もエサをあげてくれるそうである。人には懐かず、駅員さんにも触らせてくれないが、昼飯時には、駅舎で駅員さんの弁当をねだっている。三本足なのにすばしっこく、無い足で首筋を掻く仕草が哀れでもある。連れて帰ろうかとも思うが、触らせもしないので難しいだろうし、無理に連れて帰って50匹のなかで生活させるのと、今の半分以上気ままな生活のどちらがいいのかと迷いつつ、毎週エサを運んでいる。
 後日談。ある日の帰り、電車を待つ間、本駅の周りを散歩していたら、タクシーの配車係のおばちゃんから、「ボートレース場行きのバス探してるの?」と声をかけられた。耳に赤鉛筆をさしてなかったにもかかわらず、昼どきに、いかにもという格好だったのだろうかと、我ながらおかしくなった。

 さて、本題。

 元ひよこからのメール。最近の若い子は、考え方の筋道が立っておらず、しかも礼儀がなっていないと嘆きのメールである。そんな問題、今に始まったことではあるまい。お前さんらがひよこの頃にも、同じことを言われただろうと返すと、それとはまた少し話が違うのだという。

 自分たちの頃は、上司が怖かった。話すときは自ずと襟を正し、ない知恵を絞って、敬語を使って話したものだし、報告に行くときなどは、本当に緊張したという。今のひよこには、それが乏しいという。彼らだって、入職時には上司から優しく「報告・連絡・相談は組織の潤滑油ですから、忘れないでね。大事にしましょうね。“ほう・れん・そう”、覚えやすいでしょう」と説明されたはずだが、ちゃんとその意味をわかっていない者が多いらしい。
 
 たとえば、「報告」は、上司からの指示・命令について部下が経過・結果を示すことであり、当然、下から上に対して、本人が直接示すのである。それが、「へぇ、師長さんからそんなこと言われてたっけ? あなた、ついでに、○○にも伝えました。OKでーすと、師長さんに言っといて」ということが少なくないそうだ。それは報告ではない! 伝聞である。ちゃんと自分で言ってきなさいよ。まったく、あの人何考えてるのかしらとなるらしい。元ひよこたちだって、上下関係を強調するわけではないが、けじめは大事だと憤る。とはいえ、あまり言い過ぎて、「あの先輩(あの師長)、こんなことばかり、やかましいんだから」とか、「そんなに威張りたいのかしら」などと陰口をたたかれるのは、あまりいい気はしない。ごもっともである。

 「連絡」もしかり。連絡とは、わざわざ書類やメールで通達するほどのことでなく、ちょっとした情報を関係部署や関係者に知らせることである(連絡は上下に関係なく、ときに、下から上に知らせることもある)。当然、必要な情報だけを知らせればいいし、知らせなければならない。それをわきまえていない者が多いと嘆く。たとえば、「こんな連絡が入りましたが、私はこう思うんですけど」とか、「こんな連絡馬鹿げてますよね」などと、自分の感想や意見までつけ加えてくる。今はあなたの意見を聞いてはいないのよ。速かに、簡潔に、必要事項を連絡したら部署に戻ってちょうだい、と言いたくなるが、そう言えば言ったで、「○○先輩は(△△師長は)人の話を聞かないで、お高く止まる」と、また陰口になる。はい、ここでもうんざり。

 最後は、「相談」である。これは何か判断に迷ったときに、ほかの人の意見やアドバイスを参考にするために行うのであるが、これも整然としていないことが多い。人の貴重な時間をとっているのに、相談なの? 単なる愚痴なの? と辟易することもしばしばだそうだ。しかし、これも態度に出そうものなら、「○○先輩は(△△師長は)冷たい。相談の一つもできやしない」となる。だいたい、相談後、「あのときはありがとうございました。こうすることにしました」と、礼の一つもない人が多すぎると嘆く。まぁ、そんなことばかりではないと思うが、最近の若者は、社会人としての自覚やモラルが欠如しているにもかかわらず自らの権利は強く主張するタイプが増えているともいわれているし、打ってもなかなか響かない新人への対応に、歳の離れた元ひよこたちはさぞ苦労しているのだろう。また、“ほう・れん・そう”と称した愚痴や文句、雑談を若手から日々聞かされていては、うんざりするのも無理はない。
 
 と、同情を示しながらも、「いい仔猫がいるけど飼わない?」と、こちらもくだらない連絡をする次第である(笑)。