山野穴太のいまどきナースこぼれ話

2016年07月05日
第101回 ナースの自院への受診について

ジメジメした梅雨どきである。わが家の猫どものためのノミやマダニ駆除に金がかかる。背中の皮膚に塗る1本1,000円弱のピペット製品であるが、これを猫50匹に対して、1月から1.5カ月ごとに処置をせねばならず、金も手間も大変である。だが、これを怠ると、わが輩が接触性皮膚炎その他にかかるため、背に腹は代えられない。
 それはさておき、最近サボっていたが、たまには個別の猫の話題も書かねば(笑)。写真の仔猫は半年くらい前に保護した。残念ながら、先天性FIV(エイズウイルス)感染猫なので、名前はエズくん(元オスの白黒猫)。とても人なつっこいし、掃除やエサやりのときもついて回る、かわいい仔である。性格だけではなく、体の模様がまたかわいい。写真でおわかりいただけるだろうか(おしり丸見えでごめんなさい)。陰嚢のところに、小さな白いハートマークがある。ついでに、しっぽの先端も白い。なんとも愛嬌のある仔である。今のところまだエイズは発症していないが、いつまでも元気でいてほしいものである。

 さて、本題。
 病院スタッフの自院への受診について、どうすればよいものかと、某所勤務の元ヒヨコより相談があった。総合病院なら、自分が受診したい科(たとえば、内科、外科、整形外科とか)を受診すればいいではないか。定期検診の場合は、医事課なり、総務が計画を立てて、内科(総合内科)などでの検診やルーチンの採血など、必要な検査を段取りしてくれるので、指示どおりにすれば問題ない。検査後は1~2カ月以内に、結果が封筒に入って配られる(一応個人情報だから、封筒に入ってくる)。また、精神的なものは、今はストレスチェック制度がもうけられたので、チェック表にのっとって検査を受ければ(10分程度で回答可能)、専門機関から同じく結果が返ってくるし、必要と診断されれば、精神科医との面談も受けられる。そのように答えたが、質問者の意図はそこではないようである。

 いちばんの問題は、職場の人間に病気のことを知られたくないということらしい。医療機関では、患者さんの個人情報については、漏洩防止の措置を十分にとっているが、それは患者さんの個人情報であって、医療スタッフは患者さんになりうるにもかかわらず、患者さんには入っていない。つまり、最近の病院は、どこも電子カルテが主流であるから、スタッフは自分のID番号を入力さえすれば、どの患者さんの診療録も見ることができる。同様に、自分のデータはおろか、他のスタッフのデータまでも簡単に閲覧することができるのだ。対象者のIDがわからなくても、フルネームを入力すれば、候補者リストが出てきて、医師以外のスタッフが診療録を見たり、記入したりすることは、当たり前だが、ブロックがかけられていない。そんなことをすれば、診療業務ができないからだ。もちろん、患者診療歴の閲覧履歴について、医療情報のチェック担当者は監視しているとは思うが、それを日常業務とするには、あまりに膨大な患者数、スタッフ数であるので、通常は何か問題がない限り、そこはチェックしていないだろう(記録はすぐに呼び出せるようにはなっているはずだが)。もちろん、監視ができることを周知することで、診療歴の自由閲覧の歯止めにはなっている。

 とはいえ、自分の診療歴が他のスタッフにいつでも見られる状況にあるということは、やはりいやだと、新旧ヒヨコはいう。受診記録だけでなく、ご丁寧に、住所、年齢までわかってしまう。これを悪用するスタッフはいないと思いたいが、確かにあまりいい気持ちはしない。今は医療機関の多くが、たとえ年賀状などを出すためであっても、スタッフの住所録を配布しないところが多いが、これでは意味をなさない(笑)。

 それなら、自分の病院で受診しなければいいのではないかとも思うが、どこどこ病院を受診しますと上司に休暇届けを出すのも、その受診科が自分の病院にもある場合は、バツが悪いそうだ(そんなの正直にいう必要はない、休暇理由は私用でいいではないか)。さらに、自院であれば、受診や入院にかかった個人負担分は(場合によっては親や家族の負担分も)、後日、見舞金などの名目で勤務先が全額負担してくれるところもある。これは経済的に、かなり助かる制度である。それを捨ててまで、他の医療施設を受診するというのは、逆に、何かあるのではないかと勘ぐられそうだと、これまた気になるのだそうだ。「あなたの病気など、だれも気にしてないわよ」と上司は言うが、それは嘘で、欠員補充などの点で、絶対に気にするはずだという。

 まあ、まあ、あちら立てれば、こちらが立たず。難しい問題である。