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no. 85先生(現・埼玉医科大学名誉教授)からは学問的なことだけでなく,医師としての心の持ちようなど,とても多くのことを教わりました.松谷先生は患者さんの話を本当に丁寧に聞いて,患者さんが希望や目標を持てるようにかかわっておられました.病気の説明を聞いて大泣きした患者さんやご家族も,さらに松谷先生と話を進めるうちに笑顔になって帰って行かれます.予後の悪い疾患の患者さんであっても,医師の説明の仕方によっては患者さんの気持ちを救えることを知りました.今思えば,高倉先生や松谷先生ら(図2)と悪性脳腫瘍の患者さんを診ていて「この病気を何とかしなければ」と思ったことが,脳腫瘍の研究へと進むきっかけになったように思います.恩師やメンターに恵まれた研修医時代3【吉本】先生はどのようにして手術手技を修得されたのでしょうか?【成田】東大では5~6年間ほどいくつかの病院をローテーションしますが,私は本当に恩師やメンターに恵まれていました.手術技術だけでなく手術哲学を習ったのは,東大病院の病棟医長であった佐々木富男先生(現・九州大学名誉教授)でした.非常に厳しい先生でしたが,どんなに時間のかかる手術であっても,最初から最後まで同じように緻密で丁寧な手術を続けるという基本姿勢を1年間かけて教わりました.【吉本】佐々木先生は九州大学でも丁寧で確実な手術をされており,私も多くのことを教わりました.その後はいかがでしたか?【成田】2年目は,亀田総合病院で江口恒良先生(前・亀田総合病院副院長)のもとで手術準備の大切さや道具の使い方などについて学びました.マイクロサージェリーも行っていましたが,とにかく勉強と準備をするように言われていたんです.江口先生は画像の読み方や手術のシミュレーションを術者同様にできるようになってから,研修医に手術を任せられているようでしたね.脳圧センサーを見たり,CTを撮り直したりするなかで,常に科学的な見方をして,データにないことを憶測で言わないという姿勢も身についたと思います.江口先生の手術では,先生が手を出すだけでナースがさっと器械出しをしていたのが印象的でした.クリッピング術やバイパス術,脳腫瘍摘出術,どれをとっても本当にシステマティックで美しかったです. 亀田総合病院では年間400例ぐらいの手術を江口先生と4人で受け持っていましたが,昼も夜も救急があったので,いつも血管造影室か手術室に説明の仕方次第で,患者さんの気持ちは救える図2 第24回国際がん研究シンポジウム(2011年)にて高倉公朋先生(下段右から2人目),嘉山孝正先生(下段中央),渋井壮一郎先生(下段左),松谷雅生先生(中段中央)らと一緒に.脳神経外科速報 vol.27 no.5 2017.5. 447

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