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私の手術論文学少年だった高校時代学部生時代はアジア辺境を旅行1【吉本】本日は,国立がん研究センター中央病院(以下,がんセンター)の成田善孝先生をゲストにお迎えしました.JCOG(Japan Clinical Oncology Group:日本臨床腫瘍研究グループ)の悪性脳腫瘍に対する多施設臨床試験や国内の治験,脳腫瘍全国集計調査などで,脳腫瘍研究をリードされています. まず,成田先生が医師を志された経緯についてお話しいただけますか?【成田】小学校のころから手先が器用でアマチュア無線の免許を取ってラジオをつくったりしていたので,もともと科学には関心がありました.一方で,高校生のときは,ドストエフスキーやソルジェニーツィンなどのロシア文学が好きで,「人は何を考え,どのように生きるのか」といったことをよく考える文学少年でもありました.人のためになる仕事を一生していきたいと考えていましたし,母親が心臓に疾患をもっていてつらそうにしているのを見ていたこともあって,医師になりたいと思うようになりました.【吉本】高校を卒業後,東京大学(以下,東大)医学部に進学されていますが,どのような学生生活を過ごされましたか?【成田】登山や写真が好きで,よく旅行をしていました.高校生のころに井上靖氏がシルクロードを旅するNHKの特集番組を見た影響で,大学2年生のときには中国の敦煌,ウルムチ,カシュガルを経て,パキスタンにある標高4,700mほどもあるクンジュラブ峠を越えたこともあります.インドやネパールにも何度か行きましたし,カシミールやチベットといった今では行きにくい辺境の地にも訪れました.旅行前は,時間があれば下調べをして,準備を万全にしてから出かけます.アメリカに留学をしたときも,ほとんどの国立公園に行きました.【吉本】そういう緻密な準備をされる点は,現在の成田先生の治療・手術に向かわれる姿勢と通じるものがありますね.「この病気を何とかしなければ」と脳腫瘍の研究へ2【吉本】卒後,脳神経外科に進まれたのはどういった理由でしょうか?【成田】人間の活動の中心を司るのは脳ですが,当時,脳神経回路のことはまだ十分に解明されていませんでした.脳神経の可塑性やネットワークなどの研究をしたいと思い,脳神経外科を選びました(図1).東大の主任教授は高倉公朋先生(現・東京大学名誉教授,東京脳神経センター所長)で,同期に長谷川功先生(現・新潟大学生理学講座教授)がいらっしゃいます.【吉本】入局して,特に影響を受けた先生はどなたでしたか?【成田】当時,助教授でいらっしゃった松谷雅生図1 学生時代,実習班仲間と.左下が成田先生,その上が奥様の雅美さん(現・国立成育医療研究センター)446 脳神経外科速報 vol.27 no.5 2017.5.

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