Vascular Labのお知らせ

2016年09月01日

バックナンバー 『Vascular Lab』メールマガジン《29号》

■■■「Vascular Lab」メールマガジン■■■ 
            ★☆★29号★☆★
            毎月1回1日発行
              ∞監修∞
   松尾 汎(医療法人松尾クリニック・松尾血管超音波研究室)


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■□  達人が教える今月のとっておきテクニック
□■  「大動脈弁狭窄症の重症度評価のコツ」
■□  ∞講師 東北大学病院生理検査センター/伊藤記彦・三木 俊∞
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 大動脈弁狭窄症(aortic valve stenosis:AS)の心エコー図検査では、弁口面積を直接トレ
ースして求める「プラニメトリ法」と、ドプラ法を用いて弁口面積を求める「連続の式」がある。
「プラニメトリ法」は、大動脈弁が高度石灰化や画像不良な場合、弁口のトレースが困難である。
一方、「連続の式」では、圧較差と弁口面積の重症度が乖離する例があり、その原因として計測
誤差や血行動態に起因する。
 ASの重症度評価のコツは、計測誤差や血行動態に起因する重症度評価の乖離について十分な
知識を備えておくことが重要である。
 <計測誤差に起因>
1. LVOT径の計測位置のずれ:超音波ビーム対して垂直な断面、大動脈弁輪直下で計測する。
2.LVOT断面積は正円ではなく楕円である:極端な楕円だと誤差が大きくなる。
3.超音波ビームと血流のなす角度のずれ:ずれの角度が小さいほど誤差が少ない。
 <血行動態(心拍出量の増減)に起因>
1.圧較差が大きい割に弁口面積が小さくない場合
 高心拍出状態(発熱、敗血症、高度貧血、透析などのシャント、甲状腺機能亢進、脚気、中等
度以上のAR合併)などは、一回拍出量(SV)が増加し大動脈弁通過血流速度も増加するため圧
較差が上昇する。
2.圧較差が小さい割に弁口面積も小さい場合
①左室EFが低下している症例
 低流量、低圧較差、重症AS(low-flow/low-gradient severe AS with reduced LVEF)の場合、
EF低下によってSVが低下し重症ASがあっても圧較差は大きくならない。EF低下の背景がAS
によるafterload mismatchの場合と、心筋虚血、心筋症が合併している場合がある。また、弁
口面積が小さい「真の重症AS」と、中等度以下のAS例のように、EF低下によりSVが小さいた
め大動脈弁が十分に開放されず弁口面積が小さく算出される「偽の重症AS」という病態がある。
②左室EFが保たれている場合
 EFが正常でも高齢の女性で高血圧症が合併した左室求心性肥大症例では、重症ASがあっても
SVが減少し圧較差が大きくならない。これをparadoxical ASという。この場合も「真の重症AS」
の場合と、SVが小さいため大動脈弁が十分に開放せず、弁口面積が小さく算出される「偽の重
症AS」があるので注意が必要だ。
 さらに、重症MRの合併や脱水なども見かけ上EFが保たれているが、SVは小さくなり圧較差
が減じる。
<弁口面積係数を参考にすること>
 体格が大きい症例では弁口面積が大きめに算出され、小さい体格では小さめに算出されるため、
弁口面積を体表面積で除する弁口面積係数(AVA index)を参考にすべきである。
 なお、ASの重症度評価の指標としてAHA/ACCガイドラインによる重症度判定基準がある。
・大動脈弁狭窄症の重症度評価
 大動脈弁口通過最高血流速度(m/s):軽度[2.0~2.9]/中等度[3.0~3.9]/高度[≧4.0]
 収縮期平均圧較差(mmHg):軽度[<20]/中等度[25~39]/高度[≧40]
 弁口面積(cm2):高度[≦1.0]
 弁口面積係数(cm2/ m2):高度[≦0.6]


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■□  達人久保田のバスキュラーラボ立ち上げ日記
□■ ∞北播磨総合医療センター 中央検査室/久保田義則∞
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★☆熊本での激震災害に心痛めるこの頃☆★
 多くの人々の体と心を大きく抉り、今なお消えない恐怖をもたらしている大自然の脅威に、茫
然自失状態の日本列島です。残忍な仕打ちを受けても、心が折れずに前を向き続けていただきた
いと願っています。被災者の中にDVTやたこつぼ心筋症など多くの、震災関連疾患の発症増加が
報道されています。しかし、パニックの最中にDVTの発症予防を、どれだけの一般市民が思い浮
かべることができるのでしょうか? 専門家であるわれわれCVTであっても、震災当初にそこま
で気が回らないと思われます。どのような状態が血栓形成に関与するのか実験をすることはでき
ないので、危険と思われる要素を取り除く方法を、次回の市民公開講座でお話できればと思いま
す。普段の生活のなかに定着でき、老化防止も兼ねた簡便で効果的な運動を教えてください。読
者の皆さまも一緒に1人でも多くの方に啓蒙いただければと思います。耳寄りな情報があれば
vascular@medica.co.jpまでご連絡ください。

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■□  Vascularゼミナール
□■ ∞出題者 東北大学病院生理検査センター/三木 俊∞
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【問題1】側頭動脈炎について誤っているものはどれか?
a 超音波画像の典型例は側頭動脈に全周性の低輝度病変(halo sign)を呈する。
b 側頭動脈に瘤形成をきたす場合もある。
c 側頭動脈炎で視力障害は認められない。
d 側頭動脈内腔の狭小化・閉塞をきたす。
e 片側または両側の側頭部に、拍動性の強い痛みを生じる。

【問題2】線維筋性異形成(fibromuscular dysplasia:FMD)について誤っているものはど
れか?
a 若い女性から中年の女性に多くみられる。
b 腎動脈の遠位が好発部位である。
c 最も頻度が高い特徴的所見として、不整に多発した求心性狭窄と正常もしくは拡張性病
変が交互にみられる。
d 内膜線維増殖(intimal fibroplasia)、中膜線維増殖(medial fibroplasia)、外膜下過増殖(subadventitial hyperplasia)の3つに分類される。
e 腎動脈に限局した疾患で他の血管に異常はみられない。

↓↓↓↓↓↓↓↓答えは本文最後のほうにあります!↓↓↓↓↓↓↓↓

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■□  学会めし 5食目
□■ ∞推薦者 関西電力病院 臨床検査部 技師長/
       神戸大学医学部保健学科 臨地教授/佐藤 洋
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学会場: a 熊本市民会館/b くまもと県民交流館パレア
店名: 桂花ラーメン 総本店
住所: 熊本市中央区花畑町11-9 K-1ビル
    (a 学会場より東へ徒歩5分、/b 学会場より西へ徒歩6分)
ジャンル: ラーメン
推薦者お勧めメニュー: 太肉麺(ターローメン)880円・五香肉定食(ウーシャンローテイショク)

4月14日に発生しました熊本地震におきまして災害に遭われた地域の皆さま、怪我をされたり避難所生活を余儀なくされた方々に、心よりお見舞い申し上げます。また被災されながらも医療活動をされている熊本の同胞に改めて敬意を表します。

お勧めポイント:学会、研究会で熊本に訪れたら必ず行くのが、昭和30年創業“桂花ラーメン”。以前、京都に支店がありよく食べに行っていたので、やはり聖地に行ったら本店に行かないといけません。定番は豚骨鶏がら白湯スープ+中太ストレート麺+豚肉三枚身の太肉+生キャベツの太肉麺です。それといっぱい食べたいときに注文する五香肉定食(豚肩ロースの香味揚げと、細麺桂花ラーメン+白飯)。今回の震災で休業していたものの4月26日から営業再開とのこと、学会でそして医療支援の折にはぜひ行きたいところです。東京にも支店が多数あります。


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 ▼▼Vascularゼミナールの解答▼▼       
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 今月の問題、皆さんわかりましたか?

【問題1】答え c
 約4~5割の患者で視力低下、視野障害、虚血性視神経炎などの眼症状が認められ、適切
な治療を行わないと失明することがある。眼動脈にも炎症が生じ、視神経や網膜の血流障
害が起こる。その他にも、記憶力低下、脳梗塞、聴力障害などの症状もある。

【問題2】答え e
 線維筋性異形成は腎動脈に60~75%、頭蓋外脳血管に25~30%、内臓の動脈が9%、四肢の
動脈が5%程度の関与があり、症状が起こるときは部位によりさまざまである。下肢動脈:跛行、
腎動脈:二次性高血圧、頸動脈:脳虚血発作、腹腔内動脈:腸間膜虚血の症状などがあり、腎動
脈に限局した疾患ではない。



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(発行人 記)

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 マガジン名:Vascular Lab
 発行:毎月1回1日
 発行責任者:渡邊亜希子・柚木尚登
 発行元:メディカ出版
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 e-mail:vascular@medica.co.jp
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