Vascular Labのお知らせ

2016年09月01日

バックナンバー 『Vascular Lab』メールマガジン《27号》

■■■「Vascular Lab」メールマガジン■■■ 
            ★☆★27号★☆★
            毎月1回1日発行
              ∞監修∞
   松尾 汎(医療法人松尾クリニック・松尾血管超音波研究室)


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■□  達人が教える今月のとっておきテクニック
□■  「僧帽弁狭窄症の治療を考慮した検査」
□■ ∞講師 金沢大学附属病院循環器内科/吉牟田 剛∞
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 今回は、先月号の「僧帽弁狭窄症の重症度評価」に続いて、「僧帽弁狭窄症の治療を考慮した
検査」のポイントについて説明します。
 一般的に僧帽弁狭窄症に対する治療は、薬物療法のみでは自然経過が不良であるとされていま
す。薬物療法を行ってもNYHAⅡ度以上の症状(労作時の息切れ、呼吸困難)があり、心エコー
検査上、僧帽弁弁口面積が1.5cm2以下の場合には、経皮的僧帽弁交連切開術(PTMC)か外科的
手術(直視下僧帽弁交連切開術〈OMC〉、あるいは僧帽弁置換術〈MVR〉)を考慮することになり
ます。また弁狭窄が軽度であるにもかかわらず、上述した自覚症状を呈する場合には、運動負荷
心エコー検査を行い、負荷時肺動脈収縮期圧の異常上昇や左房左室間圧較差の上昇を認めた場合
にも、PTMCやOMC、MVRを検討することになります(web1)。
 さて、僧帽弁狭窄症に対して非薬物療法を検討する場合は、まずはPTMCの適応を考えます。
Wilkinsエコースコア(web2)を用いて、弁の可動性、弁下組織変化、弁の肥厚、石灰化を評価
し、スコアが8点以下であればPTMCの適応となります。一方、PTMCの適応とならないのは、こ
のWilkinsエコースコア以外にも、心房内血栓、高度僧帽弁閉鎖不全症、高度大動脈弁閉鎖不全
症、高度三尖弁閉鎖不全症および狭窄症を伴う場合や、血行再建術を必要とする冠動脈疾患を有
する症例です。PTMCやOMC不適応症例では、MVRが選択されることになります。
 以上のように、僧帽弁狭窄症の評価は、弁口面積の評価の後に、弁、弁下組織の性状を評価し
治療を検討する必要があります。
 最後に、僧帽弁狭窄症の重症度や弁、弁下組織形態を評価する目的では、経胸壁心エコー検査
のみで十分ですが、PTMCを選択する場合には、心房内血栓の有無を経食道心エコー検査にて評
価する必要があります。


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■□  達人久保田のバスキュラーラボ立ち上げ日記
□■ ∞北播磨総合医療センター 中央検査室/久保田義則∞
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★☆もうすぐ桜の頃☆★
 春なのか冬なのか、そして安全なのか日本! のこの頃です。先日、大阪駅近くで、歩行者を
なぎ倒す自動車事故があり、その原因は、持病を持たない中年男性の大動脈解離発症であったと
いう報道がありました。大動脈瘤や解離などの疾患は、予兆がなく致死的な突然の発症が特徴で
あり、高齢化社会の進む日本に潜在的な脅威と言えます。われわれは、市民公開講座を開催し、
エコーによる大動脈瘤早期発見のキャンペーンを行っていますが、解離に関しては今のところ無
力です。しかし、病院で待っていても、発症前の市民のデータは得られないので、市民公開講座
などを通じて積極的にデータ収集と解析を行い、致死的な血管疾患の予兆を見つけられたら、素
晴らしいことだと思っています。例えば、ABI正常なのに年齢平均に比してbaPWVが低すぎるな
どの「枠から外れる症例」のなかに発症予備群が含まれているかもしれません。発症後では見つ
けられない情報があるかもしれません。今年もわれわれは血圧脈波検査、血管エコー検査などの
公開講座を複数回開催予定ですが、データ収集のためのもうひと工夫が必要かもしれません。同
様の活動をぜひ多くの地域でも開催いただき、発症予測なども含めたデータが発見されることを
心待ちにしております。われわれの使命は、患者を診療・治療する知識と環境を用意するのみで
はなく、発症予備群を見つけ出すのも重要な事柄と考えてよいのではないでしょうか。

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■□  Vascularゼミナール
□■ ∞出題者 金沢大学附属病院循環器内科/吉牟田 剛∞
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【問題1】正しくないのはどれか? 2つ選べ。
a 胸部大動脈瘤を合併しているマルファン症候群患者において、侵襲的治療適応径は50mm以上
である。
b マルファン症候群の患者において上行大動脈基部は洋梨状の拡大を認めることがある。
c マルファン症候群の患者の上行大動脈径(Valsalva洞を含む)45mm未満は通常分娩が可
能である。
d 腹部大動脈瘤(紡錘状)の侵襲的治療適応径は55mm以上である。
e 胸部、腹部大動脈瘤(紡錘状)の瘤径は最大短径を計測する。

【問題2】65歳男性、突然の胸背部痛のため救急搬送されてきた。CT上、Stanford B型急性大
動脈解離の所見を呈していた。Stanford B型解離の合併症として正しくないのはどれか? 2つ
選べ。
a 腸管壊死
b 急性心筋梗塞
c 下肢虚血
d 対麻痺
e 心タンポナーデ

↓↓↓↓↓↓↓↓答えは本文最後のほうにあります!↓↓↓↓↓↓↓↓

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■□  学会めし 3食目
□■ ∞推薦者 関西電力病院 臨床検査部 技師長/
       神戸大学医学部保健学科 臨地教授/佐藤 洋
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最寄り学会場:a 東京ステーションコンファレンス/b 東京国際フォーラム
店名:立ち喰い寿司 魚がし日本一 東京駅一番街店
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1 東京駅一番街 B1F
(a 学会場より西方向へ。徒歩2分/b 学会場より東方向へ。徒歩15分)
ジャンル:寿司
推薦者お勧めメニュー:いろいろ注文しても1500円あれば食べることができます。
お勧めポイント:私は東京駅から新幹線に乗って帰ります。車内で駅弁をいただくというのもあ
りですが、東京駅に着いて、新幹線に乗るまでに少し時間(20~30分)があるときに、よく訪
れるのがここです。八重洲中央口近くの地下1階カウンターの、立ち喰いの寿司屋「魚がし日本
一」。値段はそんなに高くなくて1カン100~200円が中心です。特に好きなのがトロサーモン
の炙り。ここでは、ゆっくりと寿司を楽しむというよりは、短時間でぱっと食べて出るのが粋と
いうもの、1~2人で行くのがよいかと思います。店内にいる時間はいつも10~15分、新幹線ホ
ームまで約3分という距離も魅力です。昨年、松尾汎先生とも訪れましたが好評でした。ぜひお
試しあれ。

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 ▼▼Vascularゼミナールの解答▼▼       
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【問題1】答え a、c
 マルファン症候群は、fibrillin-1の異常により、弾性線維の形成異常や平滑筋細胞との結合
異常が発生する。その結果マルファン症候群患者の大動脈は嚢胞状中膜壊死や弾性線維の配列異
常をきたし、大動脈が脆弱となる。そのため、一般的な紡錘状の胸部大動脈瘤の治療適応径 (55mm
以上) と比較して、マルファン症候群患者においては、治療適応径を厳しくし、45mm以上とし
ている(参考文献/日本循環器病学会.循環器病の診断と治療に関するガイドライン〈2010年
度合同研究班報告〉.大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン 2011年改訂版)。
 マルファン症候群患者の上行大動脈径(Valsalva洞を含む)40mm未満が通常分娩可能である。
(参考文献/日本循環器病学会.循環器病の診断と治療に関するガイドライン〈2009年度合同
研究班報告〉.心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン 2010年改訂版)。
【問題2】答え b、e
 急性大動脈解離において上行大動脈に解離のない例をStanford B型急性大動脈解離と分類し
ている。bの急性心筋梗塞、eの心タンポナーデはStanford A型急性大動脈解離の合併症である。




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(発行人 記)

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 マガジン名:Vascular Lab
 発行:毎月1回1日
 発行責任者:渡邊亜希子・柚木尚登
 発行元:メディカ出版
 関連URL:http://f.msgs.jp/r/c.do?ev7_iU_B3_rqy
 e-mail:vascular@medica.co.jp
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