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メディカ社員の本棚

2018年01月29日

『〆切本』

『〆切本』
夏目漱石ほか
(左右社)
ISBN:978-4-86528-153-8


「〆切」と聞くと、何となく焦りを感じてきませんか?
「あ~いついつまでにしなきゃ」と思いつつ、
「まだ時間があるし」と自分に言い訳をして、
手をつけずについ先延ばしにしてしまうことは誰しも経験があると思います。

この本は、明治から現在にいたるまでの有名作家たちが〆切について綴った
エッセイや手紙、日記など94篇を集めたものです。

読んでみて驚くのは、〆切を守る作家が少ないこと!
ページをめくるたびに「(〆切までには)書けない」と断言する言葉が並びます。
書けないなら書けないで、それをどう伝えるか?
そこに作家それぞれの個性が表れていて、
丁寧に平謝りして数日の〆切延長を懇願する人もいれば、
脱稿期日を伝えずにただ「書いている」と伝える人、
いかにも嘘だと思われる言い訳で逃げ切ろうとする人など、実にさまざまです。
個人的には、1年“も”遅れるのに、1年“だけ”遅れるとさらっと言い切った
ある作家のハガキがツボでした。
(どの作家かはぜひ読んで確かめてみてくださいね)

一読者としては、〆切に追われてジタバタしている大作家先生たちの様子が
読んでいて純粋におもしろおかしいのですが、
月刊誌の編集をしている身としては、
ギョッとするほど大胆な〆切の破り方のオンパレードに
「こんな先生の編集担当じゃなくてよかった……」と思ったりもするのです。

その一方で、「編集者がいてこそ書ける」というような、
編集者への信頼、感謝を示す内容を綴っている作家もいて、
著者と編集者のあるべき関係性に気づかされ、ホロッともさせられます。
「原稿というのは筆者と編集者の心の通いあいから生まれる共同作業だ」という
ある作家の一言は心に沁みました。
私も著者と対話を重ねて、著者に信頼されるような編集者になりたいものです。

〆切は憂うつなもの。
でも、〆切があるからこそ向かう目標ができるし、
メリハリが生まれて、人はがんばれるのかもしれません。
読後はそんなことを感じさせてくれる本書は、
原稿を書く/受け取る立場にある人はもちろん、そうじゃなくても、
日々何かの〆切に追われているすべての人を後押ししてくれる一冊です。

と、やっと書き上げたこの紹介文、ちょっぴり〆切を遅れてしまいました。
ごめんなさい。


メディカ出版 田中




※次回は2018年2月19日(月)更新予定です。