ご利用・登録は無料です!メディカパスポート
はじめての方へ
新規ご登録
メディカパスポートって?
すでにお持ちの方は
ログイン
Medica eBOOKs
ヨメディカ
専門誌記事検索
商品検索



キーワード

スペース区切りで
複数の用語を検索できます。

セミナー検索
キーワード

スペース区切りで
複数の用語を検索できます。

メディカ社員の本棚

2017年07月03日

『ローカルブックストアである-福岡ブックスキューブリック』

『ローカルブックストアである-福岡ブックスキューブリック』
大井実
(晶文社)
ISBN:978-4-7949-6951-4


先回はこの欄で『本屋会議』という書籍を紹介して、
本屋の取り巻く状況とそうした状況に危機感をもった編集者と書店員が
「町には本屋さんが必要です会議」を開催した話を書いた。
また本屋にまつわる面白い本が出ていた。
本はあんまり読まないけども、本と本に囲まれた空間が好きな私としてはほってはおけない。

この本は東京やイタリアでファッション、現代美術の展覧会などの
企画・制作を手がけてきた著者が、
2001年素人同然のまま福岡市で始めた書店の話。
まぶしく見ていた「BRUTUS」「POPEYE」、映画「ブレードランナー」、
世代遅れで読んだ庄司薫の『赤頭巾ちゃん気をつけて』、
編集を始めたころにあこがれた「STUDIO VOICE」などなど、
著者を形づくってきたものが、自分とけっこう重なる。
なかでも著者がもっとも影響を受けたという
晶文社の『就職しないで生きるには』シリーズは、私も繰り返し読んだ。
晶文社のサイのマークは、インテリでもサブカルでもない
オルタナティブな感じが自分の気持ちにぴったりだった。
『ぼくは本屋のおやじさん』『子どもの本屋、全力投球』、ほんとに懐かしい。

そんな著者がつくる本屋は、本を中心にしてコミュニティづくりへと広がっていく。
トークイベント、読書会、展覧会、さらには福岡のブックイベント「ブックオカ」も開催。
店もカフェとパン屋を併設する2号店へと発展する。
食べたものが人をつくるように、本も人をつくる。
サプリメントだって人をつくるかもしれないけど、味わって食べる料理とは違う。
インターネットで読む情報は本の代わりにはならない。本が人を育む力にはかなわない。
だから本屋は地域文化のインフラに欠かせない。
ただ本を売ってきただけではなく、本を通してコミュニティをつくってきた著者の想いは明快だ。

医学系の専門出版社にいると、
著者と読者をもっと近づけることができるのではないかとインターネットに可能性を感じる。
この本を読むと、本屋が地域に根ざすからこそ著者と読者をつなぐ可能性を感じさせる。
身の丈の小商いによって地域からネットワークを広げ、
これから「本」という存在がどんなふうに地域の文化を担っていくのか、
地域の文化は日本の文化とどのようにつながっていくのか。
あまり語られなくなりつつある「本屋」の未来を考えたくなる一冊である。

ああ、やっぱり本屋さんやってみたいなあ。

メディカ出版 柚木




※次回は2017年7月10日(月)更新予定です。