山野穴太のいまどきナースこぼれ話

2016年11月04日
第105回 ナースの派閥について

そろそろ、外気も冷たくなってきた。当然、わが懐も寒くなってきた。なんせ、同居猫が増え過ぎである。先日の日曜日に、ボランティアさんの助けを借りて、カメラ片手に同居猫を数えたところ、59匹もいた。ここのところ、職場(わが輩がこっそり、遠慮がちにエサをやっていても、文句は大々的に来る)や家の周囲(これまた同じく)でせっせと捕獲したので、成猫数匹と仔猫数匹が増えた、増~えた(泣)。
 これだけいると当然、家ノラもいる。毎日4~5匹から、シャーッと威嚇されつつ、エサを配っている。加えて、捕獲した仔の病気で、金も時間も飛んでいる。今のところ、疥癬仔猫(隔離中で、毎週計4回病院通い)に、マンソン裂頭条虫持ち2匹(隔離不要で、2週間の病院通い)で、通院だけでも一苦労、ボランティア様々である。それでも、元からの住人(住猫)と義理の親子として仲良く暮らす仔猫の姿を見ては、心安まる日々である。

 さて、本題
 最近、元・わが教え子のタダ酒飲みナースが、看護職以外の友人から、「看護師さんは患者さんを治す(原文のまま。本当はcareだが)ために一致団結して働くから、派閥なんてないでしょう」と言われて、返事に困ったという。聞けば、その友人の会社では、ときに派閥間の足の引っ張り合いで、仕事にも差し障りが出るという。そのナース曰く、人間3人寄れば2対1の派閥ができる(わが輩に言わせれば、2人寄れば1対1の派閥ができる・笑)。どこの世界もそれは同じである。彼女の病院では、内部の派閥で患者さんに直接迷惑をかけるようなことはないが、職場会議で意見が対立してまとまらず堂々巡りを繰り返して、この前の意見と違うだのなんだのと、ときには白衣のペテン師呼ばわり(もちろん、陰でですよ)されることもあるらしい。

 まあ、想像してみても、ネットなどを見ても、一番多いのはナンバー1と2の対立(看護部長と副部長、看護師長と主任看護師の対立など)である。これは相性とか考え方の相違であって、別に看護に限ったことではない。看護でいえば、看護理論とか患者さんへの接し方の相違であって、実際、現場での患者さんへの対応はそれほど表に出ない。正確にいうと、表に出さない。現場で内部の対立が表に出ると、患者さんからのトップ(理事長)への投書などで問題になりかねない。ひどい場合は理事長を出せとか、新聞に投書するなどの騒ぎになって、結局はどちらかが処分されて終わる。
 
 その結末に至るまで、それぞれについている下の看護師さんは、2派閥に分かれての代理戦争のような状態で、さぞかし大変だろうと思われるが、実際はそうでもない。下っ端は結構平気である。「家庭があるので」とか、「巻き込まれて、トカゲのしっぽ切りにあうのはご勘弁」と、知らん顔である。政治的行動が好きな一部のナース以外は、「あぁまたお偉い方々がやってる、やってる」と高見の見物である。派閥闘争なんて利害損得の世界だから、この人が看護部長になれば私を引き上げてくれるといった、ここ大一番のとき以外は、馬鹿馬鹿しくて足を突っ込みたくありませんという。それに、そんな恩恵はいわゆる下っ端ナースレベルには関係がないので、みんな「生活が大事」、「お給料が大事」となる。

 むしろ、現場で直面するのは、正看護師と准看護師の対立、あるいは正看護師のなかでも看護学校卒と、大卒の対立である。これもネットなどでは派閥問題などと大袈裟に書いている場合もあるが、実際には派閥に発展するほどではないようだ。国家資格(正看護師)を持つほう、それも4大卒が、給与、将来の地位その他で上位に立つので、大卒以外の看護師からすると、「自分のほうが技術的には上なのに」と面白くない。せいぜい、若い正看護師に嫌がらせをしたり、嫌みを言ったりするくらいだそうだ。まあ、それも世の習いと受け流すことが最良であり、実際、うまく協働していくためにそうする者が多い(かなり悩むこともあるようだが)。

 そんな訳で、業界以外の方が興味を抱くほど、中小病院の看護師の派閥は大きなものではなく、どこの社会にもある程度である(ただ、大規模病院で看護部全体の人数も多い場合は、どうなのかわからんが……)。いずれにせよ、ただでさえ神経をすり減らす仕事をしているのに、人間関係のゴタゴタで居心地が悪くなって疲れてしまうようなことはご勘弁願いたいものであると、元わが教え子ナースはのたまう。