山野穴太のいまどきナースこぼれ話

2017年07月07日
第113回 官品でどこまで支給してくれるの?

最近、ややめげている話題。アニマルホーダーがテレビなどで取り上げられている。
 アニマルホーダーとは、自宅などに飼育不可能な数の動物を集め、手放すことができない、その結果、動物が増え過ぎて、病気、餓死、共食いなどが起こり、事態の収拾ができない精神状態の人を差す。テレビなどでは精神科医も出演し、強迫神経症、依存症、収集癖などのある精神疾患者として扱われる傾向もある。動物ブームの反動として、当然出てくる話題である。
 アニマルホーダーは一見、動物愛護家や動物保護ボランティアと区別がつきにくい。保護活動をしていると言いながら自宅を絶対に見せない、すでにたくさんの動物がいるにもかかわらず行き場のない動物の情報が入るとすぐに引き取ろうとする、動物の数が増えても里親探しをしている形跡がないなどの場合は、アニマルホ―ダ―の可能性がある。
 彼らの常習率はほぼ100%で、たとえ動物を没収されても、すぐにまた動物を集め始めようとするため、多くの場合、単に飼育頭数を減らしたり、法で裁くことは本当の解決にならない。問題の介入、改善には、精神医学的な「心のケア」が重要で、動物管理局、動物公衆局、社会福祉局、住宅局、警察、消防、裁判所などの行政機関のほかに、 獣医師、心理学者、動物福祉団体、一般市民、ボランティア、家族、友人など、さまざまな関係団体、個人が連携し、生涯にわたる監視を含めた長期的な取り組みが必要である。1)2)
 おやおや、そこまで言うか? 小生にも当てはまる部分がある(もちろん反論はあるが・笑)。テレビ関係者が思った通りの反応でおかしくもあり、うんざりでもあり。猫もてはやしが続くと、反動で多頭飼いの人間を批判する。誰でも彼でも精神的問題児にするなよと言いたい。わが家はオープンです。誰が来ても猫見せます・笑。全国からエサが寄付されるでもなく、わが輩とボランティアさん2人の計3人で、必死で面倒見てるんだよ、まったく。

 さて、本題。
 久しぶりに新ひよこの声。といっても直に聞いたのではない。新ひよこから感想と愚痴を聞いた先輩元ナースからネタをいただいた。原稿料はお支払いしないが悪しからず。

 まず、官品て何? 一般の方にはあまり聞きなれない単語であろうが、官製品のことである。さらにわからなくなったと言われそうだが、これも字数、すなわち原稿料を稼ぐための手段だから許されよ。余談だが、昔、国公立病院(含む大学病院)に勤めていたとき、あるナースの結婚が話題になったが、旦那は官品だと言っていた。何それと聞くと、職場の薬剤師であった。つまり、公立病院の職員(公務員)だから官品だというのである・笑。

 私立の看護学校や看護大学は知らないが、国公立の場合、一部(あえて一部という)ではボールペンや消しゴムなどの文具類を事務室に用意していて、所定の申し込み用紙に記載すればいただけるシステムがあるものの、病院の現場では、せいぜいコピーやプリンターの用紙くらいしか用意していない。

 一般企業では、業務で使う文具類は会社が支給してくれるところが多いだろうが、病院では違う。昔から「自分で使うものでしょ、当然自分でご用意ください。1本100円のボールペンを使おうが、数千円以上するペリカンやモンブランのボールペンを使おうが、どうぞお好きに」であった。それでいて、白衣は支給してくれた。当然、下履きは無視、聴診器なども無視(といっても病棟のナースステーションには個人の物でないものもあった)。だいたいその線引きは何処にあるのだろうと、頭を悩ませたものである。

 もちろん、学生時代に聴診器やその他小物は自分で、または団体で買いそろえたのは、医者もナースも同じである。だが、いわゆる文具などの消耗品は職場に用意されているものと考えていたが、これがない。自分で用意しなければならないのである。新しいひよこによっては、その状態を素直に理解して自費で買いそろえる者ばかりではない。「ちょっと、それっておかしいんじゃないですか。仕事というか現場で使うものだから、当然、組織で常備しておくものでしょう」と、もっともなことを言うひよこもいた。「情報提供用紙や封筒などは仰々しい病院名の印刷されているものが用意されているのに、それを書く筆記具などはなぜ用意しないのですか」と文句、いや正論を言う者もいた。

 最近はパソコンを使うので、さすがにプリンター用紙は備えつけで、そこまで自分で揃える必要はないが、それさえも「○○病棟はプリンター用紙の消耗が激しすぎます。注意してください」などと、これまた事務からやんわり、強く言われることもある。官品の支給は本当に厳しいのだ。

 じゃあ、ボールペンなどの文具類はすべて自腹で揃えるのかというと、必ずしもそうではない。製薬会社の方にお願いしてもらうことが多い。しかし、彼らとて会社のしかるべきところに申し出て持ってくるのだから、あからさまにおねだりするわけにもいかないし、個人的にはもらいづらい。勉強会と称した昼飯つきの説明会に参加してメモ用紙やボールペンつきの薬品パンフレットをもらうのだが、それとて毎週あるわけではなく、多くて月1回である。しかも、その勉強会すら医師専門であったり(その場合、医師に頼んで横流ししてもらうこともある)、最近では、癒着があると困るからと病院執行部が廃止にしたりしている。いやはや、もらいづらくなっている。

 おそらく、ボールペンなども事務に言えば、嫌な顔の1つ、2つしてから出してくれるのであろうが、「きみのところの病棟はボールペンまで要求してくる」とお偉いさん経由で嫌味がくるだろうから、師長殿もなかなか請求してくれない。また請求したところで、お偉いさんが製薬会社の方に「少し病院事務にもノベルティ置いて行ってよ」的なことを言って、結局はいただいたものを流してくる場合が多い・笑。

 たかが1つ数百円の文具とはいえ、日々使う消耗品だからそれなりに経費もかかるし、買いに行く手間もかかる。まったく、どこまで自腹で揃えればいいんだろうと、ひよこは嘆く。
                          
引用参考文献
1)アニマルウェルフェア(動物福祉)推進ネットワークhttp://www.inunekonet.jp/zero.html
2)動物の愛護及び管理に関する法律、環境省パンフレット「もっと飼いたい?」