山野穴太のいまどきナースこぼれ話

2017年03月28日
第110回 配置換えの時期

彼岸は明けたがまだまだ寒い季節、わが輩は相も変わらず、貧乏と猫に追われている。東に捨てられた仔猫いれば、行って震えなくてもいいと保護してやり、西に孕んだ母猫いれば、行って避妊手術を受けさせて保護してやり、南に死にそうな猫いれば、行って治療するといいと保護してやり、北に喧嘩する猫いれば、つまらないからやめろと保護してやり(*)、そんなわけで、現在60匹と同居している。ほぼ毎日来てくださるボランティアの方1名、週2回程度来てくださるボランティアの方1名に、どうにか面倒をみてもらっている。わが輩は勤務の傍ら、朝、夜のエサやりを担当している。つい先日も、やや離れた大型スーパーの裏手にペルシャ風の長毛猫数匹が捨てられているので助けてくれと言われ、夜9時過ぎの寒空のなか、ボランティアさんと捕獲器を2個持って行き、数日がかりで計3匹捕獲した(1匹は短毛)。現在は、24時間暖房の効いた隔離部屋で面倒をみているが、幸い、病気はなさそうだ。

 さて、本題。
 某オールドひよこからのメール。退職による別れはまだいい。ある程度の年数勤務し、ここに骨を埋めるというか、定年まで勤めてもいいと思っていた者にとっての突然の配置換えは、きわめて不愉快という。それはよくあることではないかと思うが、彼女に言わせると、同一病院内での部署の異動ならよくある話だが、同一系列の他病院への異動となると、話はまた別だという。とくに、最近系列内病院になったり、買い取ったばかりの病院・医院は、えてして経営状態が悪いだけでなく、医療システム、看護システムも悪い場合が多いし、その他にも何かと問題が多い。また、そうした病院は、全体の医療レベルも低いことが多い。しかし、従業員、とくに看護師は、新規採用がうまく行かないので、継続採用が普通である。そんな病院への移動は、左遷されるようで不愉快だという。そんなことはない。立て直しのためのテコ入れ要員、いわば、切り込み隊長・切り込み隊員として大いに期待されての出向であると考えてはどうか、と言ってみたが、納得がいかないようだ。

 その病院にはその病院でいろいろなしきたりがあり、たいがい1人、多くて2名程度のにわかづくり師長や副師長の肩書きの派遣要員が「これからは当院のシステムや方法に慣れていただきます!」などと強引に運用する訳にはいかない。やったところで、「出向してきたお偉いさんはそうおっしゃりますが、うちにも、長年培ってきた伝統なり方法があります。今まで、それで間違いはありませんでした」と、従来のスタッフから総スカンを喰らうのはわかりきっている。そこへの派遣は、普通の会社でいうところの、丸の内本社から地方支店への片道切符派遣、島流しであるという。

 しかも、頑張って波風を納めたとしても、それを待ってましたとばかりに、さらに上のお方がお出ましになり、「あなたのおかげで助かったわ。今後ともよろしくね」で終わりである。いや、そんな労いの一言でもあれば、まだましなほうである。そのままナンバー2として重用してくれるならまだしも、ある程度病院の体制が整ったら、お役御免とばかりに「後はこちらでやるから、念願通りおやめになっても結構よ」となるかもしれない。嫌だ嫌だという。 

 まあ、実際そうかもしれないので、わが輩は何とも言えない。異動が嫌なら辞めて他に再就職するしかないが、今さら、新しい職場を見つけて、そこで新人看護師扱いされるのも嫌だという。それなら、形式だけかもしれないが、一応肩書きを一つあげてもらって異動するのもいいのではないだろうか。 悩むところらしいが、これも世の中の常、すまじきものは宮仕えである。腹をくくって行くしかないだろう。いやはや、そんなこんなで、あまり愉快ではない配置換えというか、別れの話も散見されるこの時期である。

*宮沢賢治「雨ニモマケズ」 参照